院長インタビュー

「実は……」のひと言を大切に。
子どもと家族が安心できるかかりつけ医へ
蒲郡市の「かとう小児科・内科クリニック」で、地域の子どもたちの健康を見守る加藤剛二院長。小児科の診療で大切にしているのは、おうちの方が気兼ねなく話せることだという。「ご家族が何気なく教えてくださる普段の様子に、診断につながる大切な情報が含まれていることがあります」。日々の診療で心がけていることから、増加しているアレルギー疾患や漢方薬を用いた治療、神経内科の専門医による内科診療まで、現在のクリニックについて話を聞いた。
日々の診療で、大切にしていることを教えてください。

おうちの方には、気になっていることを遠慮せずに話していただきたいですね。「こんなことを言ってもいいのかな」とためらったり、「先生は忙しそうだから」と気を遣ってくださったりする方もいらっしゃいます。周りへの気遣いができる方ほど、言いたいことを飲み込んでしまうのかもしれません。
でも、ご家族にとってはちょっとした相談のつもりでも、私たちには診断の手がかりになることがあります。診察室で見せる姿だけではわからないこともありますから、ご自宅での様子を教えていただけるのは、とても大切なんです。
「実は……」と話してくださる内容の中に、大切な情報が隠れていることは少なくありません。「今回の症状には関係ないかもしれない」と考えず、まずは聞かせていただければと思います。
ご家族が普段のお子さんの様子を伝えることも、診療につながるのですね。
そうですね。特に小さなお子さんは、どこがつらいのか、いつもと何が違うのかを、自分の言葉で十分に説明できません。毎日そばで見ているおうちの方だからこそ、気づくことがあります。
ご自分のお子さんが体調を崩したら、心配になるのは当たり前です。その気持ちも含めて受け止めたいと思っています。ここに来て、気になっていたことを話して、診察や説明を受けることで、「大丈夫なんだ」と安心して帰っていただける。そんな場所でありたいですね。
地域の小児科には、どのような役割があるとお考えですか。

私は、小児科医は医療の「交通整理役」だと思っています。まずお子さんの状態を見て、どのような対応が必要なのかを判断する役割です。
重症の場合や専門的な診療が必要な場合は、速やかに適切な医療機関へ紹介します。一方で、経過を見てよい場合や、ちょっとした処置で改善が見込める場合には、お待たせしないように手際よく対応することも大切です。
ご家族が、最初から何科に行くべきかを判断するのは難しいと思います。まずここで相談していただき、当院で対応できることは対応し、必要なときには専門の先生につなぐ。その道筋をつけることが、かかりつけ医の役割だと考えています。
これまでの小児科医としての経験についても教えてください。
開業前は、総合病院の小児科で、主に血液の病気の診療に携わってきました。骨髄移植や臍帯血移植などの治療にも取り組んできました。現在も継続的に中部さい帯血バンクの運営に参画しています。
小児科のやりがいは、お子さんを長く支え、その成長を見守れるところにあると感じています。小さなお子さんと何度も接しながら心が通い合っていき、だんだん成長して元気に健康になっていく様子はかけがえのない喜びです。地域のクリニックでは、日々の体調の変化やご家族の心配事に接する機会が多くあります。これまでの経験を生かしながら、身近な場所で相談に応えられる小児科医でありたいと思っています。
最近の診療で、特に関心を持っていることはありますか。
食物アレルギーや花粉症など、アレルギーの診療です。学会で取り上げられる話題に触れていても、実際に蒲郡で診療していても、アレルギーで困っているお子さんが増えていると感じます。
アレルギーは、病気の種類やお子さんによって経過が異なります。成長とともに改善するものもあれば、長く付き合っていく必要があるものもあります。だからこそ、お子さんの状態に合った診療を続けていくことが大切です。
今の症状を和らげることはもちろん、大人になってからもできるだけ病気で困らずに過ごせるように、先を見据えて支えていきたいですね。
漢方薬を処方することもあるそうですね。
はい。お子さんの症状や体質に応じて、漢方薬を治療の選択肢にすることもあります。例えば、咳や鼻水といった風邪の症状、下痢、夜泣きなどの相談で、漢方薬を検討することがあります。
どのお子さんにも同じ薬が合うわけではありませんが、症状に合った処方によって改善が見られることもあります。診察で状態を確認しながら、そのお子さんに合う治療を考えています。
内科では、神経内科の専門医による診療も行っているのですね。
義父の内科診療を引き継ぎ、現在はご縁があった神経内科の専門医の先生に来ていただいています。以前、愛知医科大学で神経内科の教授を務めていらした先生です。
神経内科という名前は、あまり耳慣れない方もいらっしゃるかもしれません。脳や脊髄、身体に張り巡らされている神経などの病気を専門的に診る診療科です。物忘れや認知症、片頭痛、パーキンソン病などをご相談いただけます。
こうした症状について、地域の身近なクリニックで専門医に相談できることを、知っていただければと思っています。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

お子さんのことで気になることがあれば、一人で抱え込まずに話してください。「こんなことで相談してもいいのかな」とためらう必要はありません。おうちの方が感じている心配や、普段の何気ない様子を聞かせていただくことが、診療の助けにもなります。
必要な治療や専門の医療機関につなぐこと、そして、心配なときに相談できる場所であること。その両方を大切にしていきたいと思っています。「ここに来て、話せてよかった」と安心していただけるクリニックでありたいと思っています。


